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鶏「あら? ここはどこですの? あなたは……?」 マ「ど、どうしたんだ鶏冠石? 俺のこと忘れちゃったのか?」 鶏「全く存じませんわ。私とどういう関係でして?」 マ(……これは日頃の恨みを晴らすチャンスでは?) 鶏「どうなさいまして?」 マ「お前は俺の召使いじゃないか。忘れられちゃこまるぜ。さ、飯を作ってもらおうか」 鶏「……私があなたのような軽薄そうな人に忠誠を誓うとは思えません」 マ「飯の後は風呂を……ってあれ?」 鶏「私喉が渇きましたわ。紅茶をいれてください」 マ「ちょ、待て! 俺はマスターだぞ!?」 鶏「そんなもの関係ありませんわ」 マ「う……俺がマスターなんだ……紅茶なんて……」 鶏「早くなさい!!」 マ「は、はい!」 マ「……いつもと変わらないじゃないか……」
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LB/WE21-24 カード名:変わらないうた、変わらないそら 美魚 カテゴリ:キャラクター 色:青 レベル:0 コスト:0 トリガー:0 パワー:1000 ソウル:1 特徴:《本》? 【自】 このカードが手札から舞台に置かれた時、あなたは1枚引き、自分の手札を1枚選び、控え室に置く。 日向は苦手です レアリティ:R illust. 宇圍 14/08/14 今日のカード
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収録 6thシングル:変わらない強さ 2ndアルバム:az you like... 履歴 LIVE TOUR 2016“az you like...” 青字 井口裕香のパート 黒字 コール ペンライト
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みなさん、ご機嫌いかがでしょうか。本日は不肖ながらも私、古泉一樹がお相手させていただきます。 今日はとある理由で徹夜明けでして、多少の言動の乱れをご容赦いただきたく思います。 ペース配分を考えながらになりますが何卒よしなにお願いします。 はてさて、今日はとある連休前の木曜日。 いつもの部室ですが、集まったメンバーは豪華絢爛、才色兼備、そういった言葉が意味をなさない事をいやがおうにも 思い知らせてくれる方たち。私の目の潤いと対をなすように空気を張りつめさせる組み合わせでもあります。 「任務・・・の話ですかね。」 そこに集まる8つの瞳を見回すと、閉鎖空間を錯覚させるような重圧を感じました。 彼女たちには申し訳ないのですが、別個にもつ責務の重さと妖艶さが裏にある血生臭さをより一層引き立てている感は 否めません。僕もそれなりに慣れていたつもりなのですが場所が場所だけに緊急事態を思わせています。 「いんやぁ、一度ここで会議してみたかったのさっ!影の生徒会みたくてちょろっと怪しい雰囲気がたまらないねっ。 まっほんとに怪しい人間しかここにいないんだけねっ!あっはっはっはっは、ひひひっひひいひふぅひひひ・・・」 そう言い放つとまるで壊れたように笑い始める本日の首謀者、誘拐と拉致と脅迫の3種を同日にこなしても、 罪状は問われないと言うこと確信している彼女はさらりと言い放ちました。 今日ばかりは普段の無垢な爆発ともいえる笑い声に、何かを含んでいるように思えます。 「私もしばらくご挨拶をさせていただく機会から遠のいておりましたし、あそこまで目にかけていただいたのであれば、 ありがたく同席させていただこうかと。お嬢様方にお会いできて光栄でございます。」 たまたま僕を迎えに来ていた処を鶴屋さんに見つかり、機関の予算繰り等の話題を肴として時間を取らせるという 脅迫めいた行為を受けた事実を「目にかけていただく」とすり替えながら社交辞令を軽やかに述べる彼女は 衣装の陳列された場所を見回しながら言葉を紡ぎました。その間も隙がないのはやはり職業病でしょう。 「うわぁ、やっぱりもうこれは私じゃきれませんねぇ。」 と周囲の殺意の視線を助長させるがごとく言い放つ、籠絡や誘惑が 主たる任務といわれれば誰も疑わせない 未来の人間は全員がこのような成長をとげるのかといささか興奮を誘う彼女は そういいました。 開口一番に出るその台詞は内に溢れるひたむきさから来る毒気の無いものが多いのですがここにいる面子はその聖水にも似たる 言葉にひるみました。そういえば彼女が本心からこういう人間だと一番に看破したのは彼だったような気がします。 この場所に来たのはたまたまこちらの時間に来ていた処を鶴屋さんに迂闊にも誘拐されてきたと見るのが正解でしょう。 「古泉。」そういって森はあの朝倉涼子よりもはるかに温度のない瞳を向けて扉の外へと僕を促します。うかつにも僕は 現状を見誤り冷静さを欠いている事に気がつきました。その目は一思いに刺殺するよりも遙かに残酷な責め苦が 用意されていることを告げていました。 ・・・というかお2人とも、律儀に着替えをなさらないでも。 「いや、これは失礼しました。」動揺を気がつかせぬように廊下に急ぐと、足の震えが有ることに気がつきました。 それ程の目圧です。機関内外においての真実を知る僕には分かります。 彼が朝倉にされた事が非常に些細で有ることを思い知らせて差し上げようと思う種が芽を出しそうになったのを感じます。 適時を置きあの閉鎖空間を思わせる部室に再度踏み込むと、本棚の脇のパイプ椅子をこちらに向けながら 一輪の花は言葉を紡ぎ始めます。初めて彼女をみたとき、その可憐さと知性と庇護欲のバランスに心を奪われたのは 誰にも申し上げておりません。感じられた微弱なノイズが人ならざる物である事を告げていた事実を認識してもです。 一目惚れですね。あ・・・・・・鶴屋さんに気がつかれているようです。まいりました。 ・・・殺される・・・ 「あらためて、こんにちは古泉さん。今日はこちらでと伺ったのですが、会議の開始時間を伺いに 朝のHRの前にこちらにお邪魔させていただいたら、誰かが外から鍵を閉めてしまったんです。 ここの力場だと観察以外の能力が使えなくて・・・」 僕は監禁の首謀者と理由がわかりませんでしたがSOS団を遠からず援助なさってくださっていると言う事も踏まえて お詫びと謝罪をしました。するとそこまで謝らないでという慈愛に満ちた瞳を見せて 「一度ここから世界を観察してみたかったんです。いい機会でしたしおきになさらないでください。 あ、彼が学校の坂を向かってこちらに戻ってきているみたいです。携帯電話を取り出しましたね。」 世界 の観測ですか?!驚愕しかけていると僕の携帯が振動を始めました。 「おう、長門から伝言だ。本棚にある機関誌をすぐに開けだそうだ。気に食わんが何かありそうな気もするんで 俺もそっちに向かうから。」確かに異常事態ですが、思わず肩をすくめ笑みがこぼれます。 難なく見つけることができた機関誌を取り出すと、レトルトカレーの箱の切れ端が栞代わりになっており、こんな表記が。 「江美里の能力はあらゆる対有機生命体用ヒューマノイドインターフェイスの中でも強力。高位な存在。 ある意味朝倉涼子よりも急進派。注意されたし。あと、午後6時にお鍋のカレーかき混ぜておいて。」 正直読まなければ良かったと後悔しましたが、長門さん貴重な情報ありがとうございます。 ただ部室でカレーはいかがなものかと思いますが。ふとPCの横に設置された鍋の存在に気が付きました。 食堂のガスコンロでしょうか。巨大です。 今まで気が付かなかったくらいこの空間に動揺していた事を確認し狼狽しました。 しかし、何故彼に頼まなかったのでしょうか。食事の量を気にしたのか、それともこの空間にこさせない為か・・・ 結果的に彼の心配がそれとすれ違ってしまっているようですが。 「さぁっ会議始めるよっ!」この面子でする会議がどす黒い陰謀めいたものか井戸端会議かにしかならない のであろうことをきにもせず、議長たるこの少女は号令をかけました。 「議題はどのようなものになりますでしょうか。」ホワイトボードの前に立ち、さらりと素早く日付を書き記すマーカーを 持った森の手は、その職務の内容を感じさせない、少女のような透明さを保ち、そしてボード上部でぴたりと止まります。 しかし、律儀にメイド服を着なくても良いかと。「お似合いですね。」と声をかける喜緑さん。 それは僕の台詞であるきもしますが。1秒遅ければ私が声を出していたでしょう。その言葉を男である僕が掛けなかった事で 後程どれだけの責め苦が待っているのかを想像していました。 「まーそんなに堅い内容じゃないっさ。今日は協力者である私達が、ある対象をどう認識しているのか確認するという 名目でっ!ふっふーん、みくるっ、お茶っ!」まるで手に持ったナイフを投げるように・・・ああ、我らが団長が宣言の時にする 指を前に出すような格好を 取りながら一点を指さしました。彼女が涼宮ハルヒの力を持っていたらどうなっていたんでしょうか。 プラスマイナスゼロであるというのが僕と彼の見解ではありますが。 「え、ぁあぁ、あ?私ですか?」少し怯える朝比奈みくるの異時間同位体はお茶くみと配膳をしながら指の行方を 追い始める。親友であり、今の時間平面では同盟者である鶴屋さんの顔を見つめ直す。 魅惑の笑顔が戻り、何故か顔を赤らめる鶴屋さん。 「いやっ!何遍見てもかわいいっさ!私としてはすぐにでもみくるを連れて帰っていじくり倒したいと思ってるよっ!」 「ふふ、負けませんよ~。」相当誤解を受けそうな会話です。私も思わず目を泳がせると何やら喜緑さんは ノートを取り出し・・・あ、議事録ですね。僕も何か仕事をしなければ。と思った矢先でした。 「古泉くんっ!キョンくんの情報をお願いできないかなっ?」なるほど。対象とは彼の事でしたか。 確かに、取り扱いの難しい事項ではあります。彼の現在の重要性は有る意味で涼宮ハルヒと同等かそれ以上ですからね。 私は端的に彼の行動や知る限りの過去等を伝えていき、昨今の状態を伝えます。僕の裏でも表でも重要な役割所でもある プレゼンの開演です。 軽やかに踊り、文字を描いていく森と喜緑さんの2本の腕がまるで指揮者のように僕にリズムを造り、爛々とした鶴屋さん瞳が 僕の仕事へ緊張感をもたせます。小さなガスコンロの前で熱心に耳を傾ける朝比奈さん(大)の表情が緊張感の中に 心地よい幸福感をもたらしてくれます。恵まれた舞台での発表でした。 僕は言葉を紡いでいるこの時間が好きでした。それを自覚したのは彼に状況報告や提案、内なる策略をもって対話している時でした。 イレギュラー因子とよばれ、時には殺害の対象となり、それでも異常な理不尽を受け入れようとする彼に 生命が宿るはずのない現況報告と、推測や憶測といった僕の自己陶酔と戦略を告げる言葉が 彼の持つ不思議なフィルターで十分に濾過され、必要最低限の澄んだ情報となって彼に記憶されていくことに驚き、 気がつくとまるでそれが自分を浄化しているように思えました。厳しい任務をもつ僕のささやかな幸せの発見でもありました。 暖かみをもって帰ってくる彼の言葉に狼狽した事もあります。だいたいが予測不可能なタイミングと内容ですが。 舞台が終焉を迎え少々感慨に浸っていると 「ん~~~~~っ!何か核心を欠いたような感じをうけるっさねっ。なんで~だろっ。」 と議長は告げると何やら思惑にふけりはじめました。 「ねぇ古泉くん、そのお鍋ってもしかして長門さんの?規定事項ならそれはそこにないはずなんだけど・・・」 さらりと頭を悩ませる朝比奈みくるに私もすっかり忘れていた任務を思い出し、僕は立ち上がり巨大な鍋の下に 目をやると火種も燃料もないことに気がつきました。 これはどうしたものでしょうか。 すると「どうされましたか?」首をかしげながら僕を覗き込む喜緑さん。 「いえ、長門さんから指定された時間にこれを煮込むように言われていまして。」 そうです。このサイズのガスコンロはカセットコンロとは違い、それなりのエネルギーが動作に必要です。 「なるほど。」すーっと移動した視線が鍋を見つめ、まるで我が子の成長を重ね喜ぶようなものに変わっていくのを感じました。 「生徒会としては、あまり見過ごすわけにもいきませんが。」と苦笑し、 「長門さんの監視者としては、感情や欲求に伴った成長を喜ばしく思わないはずがありませんしね。」 どこかのヨーロッパ建築にある聖母の笑みにあったかのような瞳が片目をつぶり、その仕草が僕の中の裏と表が形成させていた 矛盾を消し去りました。 私はたぶん、涼宮さんがおっしゃるところの精神病の一種にかかっているのかもしれません。 しきりに鶴屋さんが「みくるっ!ビームだビームうつさっ!」とこちらに向かっている様にただただ肩をすくめる他ありませんでした。 最近は、肉体を酷使する任務も減ってはきていますが、非戦闘時の任務にかり出されるたびに 蓄積する疲労は割り切れるようになってきたといえどもごまかせるものではないのが事実です。 新川や森から、通常の高校生活に準ずる任務に配慮されているとはいえ人知れず片づけなけ ればならない仕事は決して綺麗なものではありません。だからでしょうかね、無意識的に彼女 のような存在に魅力を感じるのは。まぁ僕は都合よく貴方を視姦しているだけのようですが。 ふと目の前に許可を求めるような瞳を見ました。 「いかがでしょう?私がこれを暖めましょうか?」と彼女はそう言いました。 「ですが、ここは・・・。そうですね。廊下に運びましょうか。」笑顔を返すとうなずく彼女。 しかして問題がまた発生しました。この鍋、重さが40kgをゆうに超えている事が判明しました。 ここには女性しかいません。 喜緑さんは「ここは長門さんが普通の女の子でいられる安住の・・・そういう力場ですから。」とおっしゃいました。 森も「古泉。正常業務のときの原則として女性を敬うことを忘れないようにしなさい。」とたしなめるようにいいました。 鶴屋さんや朝比奈みくるは聞くまでもないでしょう。「よだれがたれそうになってきたっさっ!白飯用意してくるよっ!」 といって何やら携帯で連絡しながら飛び出していきました。 とそこへ彼がやってきました。無言です。というより、絶句でしょう。ふふ、正直たまらない顔です。 呆然と立ちつくす彼は「こ、こんばんは。」と挨拶しながらも現状の把握に必死です。僕が手短に報告するとか彼は、 「やれやれ、ま事が荒立つこともなさそうだし、いいだろうよ。この面子で何か起きたらどうしようもねーだろよ。」 苦笑いしながら事態をあっさり飲み込む彼に私は尊敬と畏怖の念を抱かずにはいられませんでした。 「森さん、いつぞやは本当にお世話になりました。今日は息を・・・抜いているようにも見えますね。」 メイド姿の彼女をみて思いの外余裕のある言葉を継げた彼に僕は驚きます。これは後で彼女の本性をじっくり・・・ 「お邪魔させていただいております。実はこの空間に甘えさせていただいております。」おやおや、目尻の緩んだ顔です。 どこで見せていただいた顔だったか・・・おや・・・ええ、まぁ又の機会に。 「朝比奈さんこんばんは、おひさしぶりですね。」 「はいっ!キョンくんもお元気そうでなによりです。」確か一月前に彼らはお会いしていたとか。どうやら任務らしい任務 では無かったと伺っています。 まぁ私たちも知らずの同盟のようなものを組んでいる関係上お会いすることはあるんですが 彼女の表情を見ると再会の感動だけでは ないように見えますがね。ほら、彼女は貴方が気がついていないということに 気がついていますよ。彼が来ると、この部室の空気はいかなるときでも理想的な方向に向かうのでしょうか。 穏やかな夜会になる事を予感させています。 「喜緑さんもこんばんは。長門が世話になってます。そこはあなた達の特等席かもしれませんね。」と笑顔。 珍しい物を見るような表情を一瞬見せた彼女は、すぐに笑顔に戻ります。たぶん彼ならそう言うと分かっていたのと 本当にそう言ったことに対する驚きが有ったのでしょう。さすが長門さんの監視者です。 「長門さんは私がここに入ることを止めようとするんですよ。困ったものです。」にこやかな微笑みを絶やさずに紡ぐ。 すこしいぶかしげな顔をした彼は「・・・何故でしょうかね。」と本当に分かっていない様子。 思わず喜緑さんをみると苦笑いをしておられます。目が合い僕が肩をすくめるとくつくつと笑い始めました。 肩をすくめた僕がおもしろくないのか彼は朝比奈みくるに目をやると、やはり彼女も俯いて肩を揺らして笑いをこらえて います。森は何かを悟ろうかとするように彼をまじまじと注意深く観察しているようにみえます。 すると扉が期待と不安を孕んだ馴染みの有る音で勢いよく開きました。僕は一瞬ですが身をすくめ扉から彼に 顔を移しました。涼宮ハルヒの襲来を予感させるシーン。彼が見せるであろうあの表情を確認しようと思いました。 ですがそこにある彼の顔は僕の予想を裏切るものでした。彼は笑顔を浮かべたまま崩さずに扉を見ていました。 涼宮さんがいらっしゃるときは微弱ですが顔を歪めるか動揺する、そしてその中に見える多幸感それを見たかったのですが。 ドアの開閉音の違いが分かるんでしょうか、何が違うのか私にはわかりませんでした。何者ですか貴方は。 「いやっはぁっっはっはっはっは・・・ふぇっくしん!ぁあ~白飯きたよっ!おぉっ!キョンくんいらっしゃい!」 一瞬何かを言おうとして止めた彼は挨拶を手短に済ますと抱えているであろう荷物の運搬を助ける為に席を立ちました。 その脇から現れた人物に僕は気を引き締めました。今日は緩みっぱなしでしたので・・・ 「おひしぶりでございます。私はすぐにでもお暇させていただきますよ。」両肩両手にこれから長く続くであろう潜伏を 必然とする戦地に赴くがごとく荷物を抱えた新川がそこにいました。彼は表情を固まらせて、一言「その荷物は?」と。 僕はその中身がこれから私達の胃に収められるであろう品物であると予想しましたが、彼には見たとおりに映った のでしょうか。少々慌てていました。 「帰ることは許可できないよっ!帰ったら死刑っさ!」彼はその一言で我に返ったように肩をまたすくめました。 これには僕も中にいる朝比奈みくる(大)も素直に驚かされましたしね。 「いやはや、それはご勘弁願いたいですな。それでは私もご相伴にあずからせていただこうかと思います。」 新川は湯気の立ち上る白飯の箱を床に置き、彼と僕はそれを移動させる事を手伝っていました。 鍋を廊下に運び出すと新川はいるであろう面々に挨拶をすると言って部室に戻ったので、彼と廊下で外を眺めていました。 「なぁ、SOS団がもう一つできたように感じないか?」彼は呑気にそんな事をおっしゃいました。 僕はただただ肩をすくめ両手を上げることしかできませんでした。裏SOS団、手に余る代物ですね。 「僕は明日、学校をお休みさせていただこうかと思っていますよ。徹夜明けの後にこれでして。」 心底哀れみの目を向ける彼は「皮肉の言葉も思い浮かばんよ。・・・すまないな。」と謝罪の言葉をかけてきました。 お互いが苦笑いでいると喜緑さんが廊下にいらっしゃいました。 「調理室を使うんですか?新川さんを待ってからいきましょう。」ドアを閉めた喜緑さんに彼は訪ねていました。 僕は本当に疲労があったのでしょうか。普段ならかならず先の気配りを心がけていた僕は少し狼狽しました。 いけませんね、と自分を戒めて彼女が人ならざる存在であることにそのTPOが必要なものかを考えてしまいました。失礼・・・でしょうね。 鍋にかざされた手を見て、そしてそれが両手になったとき僕は長門さんの忠告を思い出しました。 彼もおおかた同じ事を思っていたのでしょうか。 僕と彼が制止を促そうとした一瞬のうちにそれは広がりました。 彼女は先ほどいた時空から位相をずらした空間を作り上げました。緑に囲まれているのは彼女の性格の現れでしょうか。 美しい湖の畔とは裏腹に、鍋の周りは凶悪な熱の空間が球体状に取り巻いています。いくつの微調整を加えながらの 料理になるのでしょうか。鍋の融解点とルーの適温とその空間の維持と鍋を空中に浮かべて大気を計算し・・・ゾっとします。 彼はその鍋にはそれほど驚きもせず湖畔に見える動物と植物に呆然としています。 僕もその生命の存在を疑わせない光景に見とれました。 喜緑さんは絶対に敵に回せないと考えると同時に、僕にとって魅力的な存在であると認めざるを得ませんでした。 鍋を維持し、位相を戻し、情報構成をし直して台車を造る。彼女のことです。今の力を感づかれぬよう隠蔽する措置も 取っている事でしょう。 魅惑の料理の時間はあっというまにすぎ、嗅覚を支配しようとする存在が今の僕には邪魔な物に感じました。 喜緑さんは「さぁ、遅くなってしまいますし食事にしましょう。」と何事もなかったような笑顔でそう言いました。 彼は喜緑さんに「それ、長門にも教えてやってください。」と進言していたところで僕は思わず笑い出してしまいました。 食事の間、一応の議題である彼についての考察や報告、ヒアリングなどで食卓が賑わいました。 もちろんとうの本人はバツの悪そうな顔をしていましたが、一度、彼らしいあの仕草を見せた後はぽつぽつとごまかしながら 返答していました。いやはや羞恥プレイというやつでしょうか。 ふと彼を見ると少し憂鬱な表情をしていました。今日始めてみせるその顔に僕は思わず「どうされましたか。」と伺い立てると 「んあ、いや、あいつは何も知らないんだなぁって改めて思ってな・・・どうすりゃいいかは分かってるんだけどな。」と苦笑して。 そういうと席を立ち手洗いに行くと、部室を出ました。掛ける言葉が出ずに苛立ちを感じました。多分他の方々も。 名残惜しくも夜会は終わり、当然ながら残ったカレーのルーは長門さんの明日以降の昼食としてストックされました。 なるほど、本格派になろうとしているのですね。少し具が少なかったような気もしますが。しかしこれは幾日分の食料なのでしょうか。 彼と新川は食器を洗いに、僕と女性陣は室内の掃除を済ませます。 「一応まとめをだしておこうねっ!皆の衆っ!彼はどういう存在か見解を発表するっさっ。」 どういった答えが返ってくるのでしょうか。これほど興味深い事もあまりないでしょう。 まず森「少し確認したいことはございますが、ある意味では守り神みたいな存在でしょうかね。」 朝比奈(大)は「最初はイレギュラーな存在だったけど、今は時間の歪みを乗り越えている存在でしょうか。」 喜緑さんは「そうですねぇ、自律進化の可能性を促す存在です。ある意味普通の人間ではできないです。」 鶴屋さん「私は魅力的さっ!2番目だけれども、彼も欲しいにょろよ。」 おやおや。一部問題発言がありましたがどこかで聞いたことのあるお話ですね。今日は僕に用意された一日でしょうか。 僕は笑いが止まりませんでした。こんなに笑ったのはいつ頃だったでしょうか。眠気のせいでもあるのでしょうが。 彼と新川が戻ってきたところでお開きとなりました。彼はあまり遅くなれないとのことで先に部室からでようとしました。 振り返りざまに僕達全員を見た後に毒の全くない顔でこう挨拶しました。 「じゃあ・・・また来てください。」 一瞬ですが、任務とか責務を忘れた自分に狼狽しました。どうやら他の方も程度はあれど同じ感想を抱いていた様子。 新川さんは彼を見送った後、大きな声を出して笑っていました。 帰りの車の中であの挨拶を聞いたとき、何を思ったか一番早く仕事の時の顔に戻した森は話をきりだした。 「私達の仕事と呼ぶには差し出がましい活動に、あれほど稚拙な言葉で誇りを感じさせられたことはない。」と。 「ただ彼の恋愛という面においてその発露や処理の仕方には鈍さを感じさせるがあれは何か考えがある気がしてならない。 過去はすべて気づかぬふりで逃げていたのか、理由があって避けていたのか。何かを隠蔽しているように見える。 いかなる存在であっても、彼との直接的な接触の際に彼への信頼が疑うことなく発生するのはおかしい。」 そこまで言うと新川に意見を求める彼女。 「私には彼が現実社会で俗にどういった存在に該当するか、どういう覚悟を意識的に無意識的に持っているのか、 あの挨拶をいただいた時、近しい概念を感じましたな。かれは有り体に言えば父親です。誰に対するという訳ではなく、来る 物拒まず自然に生み出される父性愛を持って接する。彼の置かれている現状が、あまりに異常であるが故、 それを維持し続けるのは本来は不可能でしょう。能力や天性といえば容易いですが、通常のそれとは訳が違う。 そもそも、そのような存在の彼が涼宮ハルヒという存在に近い場所にいたのか。 それが何を表すのか興味深いところです。」 日常の中、何故僕が彼にあれだけ頼ろうとしたのか、頼っても大丈夫だと信用したのか 無意識的にそういう存在として見ていたのかもしれない。かけがえの無い親友であってと望むとともに。 僕には両親はいない。僕の日常はまた始まる。むこうとこちらの世界を行き来しながら。 でも彼がいれば、彼と彼女がいれば僕はこんな普通で異常な世界でも笑っていける。笑える日が増える。それだけは確信しました。
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きっと変わらない色 Music Lyrics:ササノマリイ 中文翻譯:Alice / 箱庭博物館 絕不改變的顏色 彷彿能看見 不可見的 話語 這種感覺 像景色映照水面上 必然銘刻心中 不會離我而去呢 甚至能聽見 搖晃的 聲響 我們 永遠都在 自以為明白呀 笑不出來呢 所以呀 乾脆 就這樣 悄悄 下沉吧 讓我們說說玩笑話 直到笑容綻放 一定 喜歡著你唷 一直 喜歡著你唷 漸漸融於朝霞 做了個 這樣的夢 讓想消失的 念頭 都變得模糊 我應該是 看見了 那樣的景色 回憶銘刻心中 不會離我而去呢 也沒有意識到 錯身的話語 我們 就在這裡 最初即是如此 從未改變呢 所以呀 乾脆 就這樣 悄悄 下沉吧 讓我們說說玩笑話 直到笑容綻放 一定 喜歡著你唷 一直 喜歡著你唷 我望著你的背影 漸漸遠去 還不要 離我而去 這麼說的我 真是任性對吧 請你別在意呀 這份心情若能傳達給你該有多好呢 一定 從今以後 會悄悄 在彼此身旁 讓我們說說玩笑話 直到笑容綻放 一定 喜歡著你唷 一直 喜歡著你唷 我看著 你 邁開步伐
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autolink DC/W23-107 カード名:きっと、変わらない カテゴリ:クライマックス 色:緑 トリガー:2 【自】このカードが手札からクライマックス置場に置かれた時、あなたは1枚引き、自分のキャラを1枚選び、そのターン中、ソウルを+3。 レアリティ:PR ilust.
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「変わらない春」 宙に浮かんだ 一つのピンク そっと掌に 載せてみた その花びらは 柔らかく 君の右手を 思い出させる 突然 周りのピンクがゆがむ 探し続けた君が すぐそこに居た気がした 毎年変わらぬ この木の下で 変わり続ける 僕の姿 煙草に火をつけると 僕の涙は 空へと昇った それと逆に 君の涙は ひらりと僕に舞い降りた まるで 僕に微笑むかのように
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サンタクロースをいつまで信じていたかなんてことはたわいもない世間話にもならないくらいのどうでもいいような話だが、 サンタなどという想像上の赤服じーさんを本気で信じ、喜び、救われ、ときに悔しがり、一喜一憂している子どもがいるってことがこの歳になってようやく分かった。 俺も歳をとったということだろうな。 幼稚園のクリスマスイベントにまさかこの俺がサンタの扮装をするとは、神とやらはいったいなんの皮肉を効かせたのかと思ったが、 なんのことはない、たまたまご近所の中で平日の昼間に時間の取れる職業についていたのが俺だけだったという話だ。 そんなこんなで無難にご近所づきあいをこなしながら日々の中に埋没していると、あの騒がしくも正直楽しいと感じていた日々は、 実は俺の妄想の産物ではなかったのだろうかとも思える。 俺が朝目覚めて夜寝るまでのこのフツーな世界。だが本当はそんなフツーにまぎれ突拍子もない世界が転がっていたりするものだってことに気づかされた高校1年の春。 俺はまだそんな世界で生きているだろうか。 あの無機質だけどどうしても人間味をぬぐえない宇宙人は地球を征服することもなく宇宙へと帰ってしまったし、未来からやってきたという割に何も知らずにいつもおろおろとして、 でも側にいると不思議と和やかな気持ちにさせてくれたあの未来人も本来の時間へと帰ってしまった。そして巻き込まれたように変な力に目覚め変な集団に所属していた超能力者も、今は普通の生活を送っている。 あの頃を示すような、形に残るものはほとんどなくなってしまった。 もっとも、あの時間が嘘ではないということは良く分かっているし、あの時間が夢や妄想の類ではないという証拠はいつも俺の側にあった。 だから、ある日突然謎の黒服が現れ俺をさらっていき、俺から秘密を聞き出そうと拷問にかけようとしたその瞬間いつの間にか勢ぞろいしていたあいつらにすんでのところで助けられる、なんてことを想像しないでもない。 俺だけ助けられる側だって想像しか出てこないのが、長らくアイツに引っ張りまわされてきた一種のトラウマってことになるんだろうかね。ため息がでそうだ。 しかしそんなこともなく、日々平凡に現実をすごしている。 俺はそれに不満はないし、それ以前に学生ではなくこの身で働いて飯を食わなければならない立場になったときから、不思議より飯の心配が頭の中を優先するようになってしまったので、そこまでの考えにおよばない日々をすごすことが多くなった。 だが今日だけは、どんなに仕事がたまって忙しい日だったとしてもあの頃のことを思い出さないわけにはいかないだろう。 思いのほか仕事の打ち合わせが長引きこんな日に限って遅刻とは、もうそういう星の元に生まれてしまったのだからもうしかたないとあきらめつつも、やはり不可抗力で文句を言われるのは腹が立つので待ち合わせ場所に急ぐ。 持ってきた花束のおかげで手を振りかぶって走ることができず、よってどんなに急いでも早足にしかならないのだが。 あれから、何度となく歩いた道を行く。 そう、ハルヒに会うために。 早足で歩くその肌になんとなく湿り気を感じて空を見上げると、絵に描いたような曇天が広がっていた。 天気予報は雨。朝から雲も出ていたというのになんの用意もせず家から飛び出したことが悔やまれる。このままでは目的地についたころ雨になるのは確実だろうな。 「そう思って、あなたの分の傘も用意しておきましたよ。僕の予備で申し訳ないですが」 「いやに準備がいいな。普通傘なんて二本も持ち歩かないだろう」 「あなたが遅れているようでしたので、一応ご自宅のほうに確認を取らせてもらったんです。大慌てで飛び出して、傘も持たずにいってしまったとか」 振り向くと、相変わらずのニヤケ顔でクスクスと笑うそいつがいた。元超能力者にして今ではただのサラリーマンが。 「久しぶりだな、古泉」 「ええ、お久しぶりです」 「遅れてスマン。ちょっと仕事の打ち合わせが長引いて。言ってて自分でも言い訳臭いとは思うが」 「いえいえ、存じてますよ。今書いているシリーズはなかなかの人気だとか。普段読書と縁遠い僕の耳にも名前が届くくらいですから」 「その言い方だと、お前は読んでないみたいだな」 「なんとなくあなたなら、僕達には読んで欲しくないんじゃないかと思いまして」 「…ああ、その通りだ。よくわかってるじゃないか」 相変わらずの変な気の回し方と、相変わらずの笑顔を向けてくる古泉に向かい、苦笑しか出てこない。 「あれから文芸部存続の名目で、ハルヒに何度小説まがいのものを書かされたか」 「そのおかげで、あなたは押しも押されぬ人気小説家という訳です。今風だとライトノベルと言うんでしたか」 「よしてくれ。なんとか食っていける程度に書いているだけだ」 そういえば最初に文芸部らしい活動をしたのは、SOS団に喧嘩をふっかけてきた生徒会長のせいだっけな。結局は古泉の差し金だったが。 「しかしその後もあなたに文章を書き続けるように命じたのはハルヒさんです。ことの発端はどうあれ、あなたの才能を既にあの時見出していたのかもしれませんよ」 「ハルヒがねえ…」 だがあながち一笑にできないところが、ハルヒのハルヒたる所以だ。 「しかしハルヒさんも『そうなって欲しい』と願ったことはあっても、その能力でそうあるように仕向けたことは無いと思いますよ。こと、あなたに関しては」 古泉の問いには無言を持って答えにするとして、俺は再び歩き始めた。立ち話ばかりをしているわけにはいかないしな。 それに文句を言うでもなく、笑顔でついてくるこいつは最初から俺が答えられないことなど想定済みだったのかもしれない。 「そういうお前は、仕事上手くいってるのか?」 「ご心配ありがとうございます。つつがなく順調ですよ」 「大手電機メーカーの開発プロジェクトリーダーか…、それっていわゆる出世街道ってやつだろ?」 「客観的に言うと、そういうことになるんでしょうね。もっとも、成功すればの話ですが」 プロジェクトのリーダーともなると、その重圧は結構なものだと思うが、こいつはそれを感じさせない。というか他人事にも見える。 「俺もサラリーマンが良かったかもなあ…」 「転職されるなら、いつでもコネを使わせていただいたんですが」 「機関、か…」 「ええ」 この就職難において古泉が簡単に大手電機メーカーに就職できたのは、機関の繋がりによるものらしい。 「機関自体はハルヒさんの能力が確認されなくなった時点で解散しました。しかし一度は仲間だった我々ですからね、ちゃんと繋がりというものは残っていますよ」 ハルヒのおかげで巻き込まれたように機関の一員となり、あいつのストレスの権化と化した神人を狩らなければならないという理不尽な業を背負った 悲しい超能力者という見方もできないこともなかったが、ちゃんとこういうところで美味しい目を見れていたのだから、報われているのかもな。 「ええ、ハルヒさんには感謝しています。もちろんあなたにも」 そんな本気か冗談かわかりづらい顔で言われても。 「まあ、いよいよ物書きで食っていけなくなったらよろしく頼む。下っ端の雑用でかまわんから」 「僕としては、あなたと一緒の仕事が出来るならとても喜ばしいのですが…」 返事の代わりにひらひらと手を振って、足を止める。目的地に到着した。 何度も訪れてはいるが、ここにくるたびあまり喋る気にはならない。 古泉もそれを承知してか軽口を叩かなくなる。顔はいつもの笑みのままだが、どことなく神妙な顔に見えないこともない。 持ってきた花束を古泉に預けると、入り口で掃除用のバケツとひしゃく、それから亀の子たわしを借りる。これって昔からあるが、まあ一番汚れが落ちるんだろうな。 そう思っていると雨が降り出した。やれやれ、この分なら重たいバケツで水を運ぶ必要もなさそうだ、ありがたいね。ありがたくて涙がでそうだ。 傘を差し出す古泉、それを丁重にお断りして目的の一画に向かう。 最近忙しくて来てやれなかったが、あいつのことだ、そんな言い訳なんて聞きゃしないだろう。 なんて、思いをめぐらしている間にたどり着く。 アイツは、きっと矢継ぎ早に文句を言ってくるんだろう。 『涼宮家ノ墓』 「…生きていたら、な」 腕まくりしようとした古泉を制し、俺はひとりで雨に濡れた墓標を磨く。 ただ見ているだけというのは落ち着かないかもしれないが、俺が思いつきでやっていることに付き合わせる必要もないだろう。 …というのは建前で、ひとりでこうしていれば今はもういないハルヒと語っているような気分になれるからだ。俺もずいぶんと感傷的になっちまったもんだ。 一言も語らず、もくもくと掃除を続ける俺。 一言も語らず、黙って見守ってくれている古泉。 傘も差さずに作業をしていたおかげですっかり濡れてしまったが、今の季節だから凍えるようなことはないだろう。それほど時間をかけるつもりもないしな。 やがて掃除も終わり、持ってきた線香に火をともす。 この雨の中ではなかなかつかない。ライターの火もちょっとした風で消えてしまう。線香ってやつはなんでこうまで点けにくくできてるんだろうな。 イライラしながらライターの火を何度もつけなおしていると、古泉は何も言わずそっと手で風をさえぎってくれた。スマンな、待たせて。 ようやく火のついた線香、それを二つに分けると片方を古泉に渡す。 お参りでの線香のあげ方ってのは地方や宗派によって違いがあるのかもしれんが、どうでもいい。よって正確な本数なんて数えちゃいない。 線香をあげ、並んで手を合わす。古泉はハルヒになんて言ってやってるんだろうかね。 俺はもう語りつくしちまったような気がしたから、ただ心の中で「また来る」とだけつぶやいた。 バケツやらを返しているうちに古泉が帰ってきた。なかなか語ったようだな。 どことなく複雑な表情だが、こいつでも緊張したり居心地が悪くなったりするのかね?長い付き合いだがいまだに性格がつかめない。 「傘をどうぞ」 「ああ、サンキュ。もういまさらって感じだけどな」 苦笑しながら傘を受け取る。まあ帰り道まで濡れて歩くこともないだろう。 「ではなるだけ急ぎましょうか」 そうは言っても雨足は強くなり、いい大人二人が傘をさしたまま走るわけにもいかず、せいぜいほんの少しだけ早足なったくらいだが。 「ハルヒさんのご両親とは会われていますか?」 「なんでそんなことを聞く?一年ほど前に一度会ったきりだ」 「そうですか…いえ、あなたの掃除があまりにも手馴れていたもので、もう和解した上で、お墓にも何度か訪ねているのではないかと思ったものですから」 墓掃除なんか褒められても嬉しくもなんともないな。 「ハルヒの両親はまだ俺を許しちゃいないよ。ただ墓参りだけは自由に行かせてもらえるよう、なんとか取り付けたってとこだな」 「少しだけ前進、というところですか」 「…別に、前進したところで先には何もないけどな」 思わず憮然と言い放ってしまったが、古泉はそれも笑顔で受け流してくれたようだ。 こうやって思わず愚痴ばっかり言っている俺だが、持つべきものはなんとやらということかね。 「もどかしいですね。ハルヒさんの死はあなたの責任ではないというのに」 「別にかまわないさ。俺の目の前で死んだことに変わりはない」 ハルヒは死んだ。俺の目の前で。 「表向きは心筋梗塞に伴う心不全。だがハルヒさんのような健康体の持ち主が、あの歳でそのような死を迎えるなどありえないと思いますよね」 「ああ、だから俺が殺したなんて恨み言のひとつも言われるんだろう。だが本当の死因なんて説明のしようがない。アイツは…」 「…ハルヒさんはその力ゆえに、自ら命を絶った」 あのときの光景を思い出さないよう淡々と話していたつもりだったが、アイツの死を考えると、どうしてもそのときの顔を思い出さずにはいられない。 「今思えば、アイツは出た結果に不満をぶつけることはあっても、自分の取った行動に後悔なんてしたことはなかった」 「ええ」 「あの時だって、一人だけ満足そうな顔して」 「ええ」 「昔から俺達を振り回してくれたが、死ぬ間際まで…いや死んでからもだな、振り回してくれやがった」 「ええ」 あえて古泉の方を見ないで喋っていた。見なくても分かる。どうせコイツは、何もかも分かっているといわんばかりの顔で微笑んでいるに違いないのだから。 「俺達は、なにごともなかったこの世界で生きている」 「ええ…ハルヒさんの力で『なにごともなかった世界』を保ってくれたのですから」 「アイツが死ねば世界が消える…なんてこともなく、な」 「はい、全てはなにもなかったかのように、彼女の力も我々の力も消えてしまいました」 「おまえら機関の見解も、的外れだったというわけか」 「機関の見解はひとつではありませんよ。もっとも、心配はしていたのですが」 ハルヒが神だとのたまう機関は、アイツを死なせないようにと色々画策した。だが本人自らが命を絶とうとするのを止められるものではない。 だが機関の心配は的外れだったらしく、ハルヒが死ねば世界が消滅するということもなく世界はいまだにその形を保っている。 「機関としては一安心というところか」 「否定はしません。ですがそれも、ハルヒさんがそうあれと願ったゆえのことなのかもしれませんよ。いろんな意味で、ハルヒさんは世界を救って死んだ」 「それを知っているのは俺達だけだがな」 「あなたもハルヒさんの死を望んでいなかった。いや、もっとも深く悲しんでいたのはあなただと思います…報われませんね」 「アイツの死はあまりに不審すぎる。そして俺達は本当のことを何も話せない。アイツの親と話せるようになるのは、まだまだ先のことだろうな」 別に俺一人が恨まれるぶんには平気なんだがな。今後一生ハルヒの両親と会わなくったってなんの問題もない。 「遺骨も結局は涼宮さんのご両親が引き取られましたしね」 「そこは折れるしかないだろう。その代わり養育権だけは勘弁してもらったわけだし。それに墓参りのフリーパスくらいは許してくれたしな」 「そういえば今日はどうされてますか?」 「ああ、今日はうちの親に預けてあるよ。おっと、噂をすれば向こうから」 顎で指し示す先、俺のおふくろが孫の手を引いて歩いてくる。 「わざわざ迎えにきてくれたのか、ハルカ」 「パパ!」 「確か五歳でしたか」 「一昨日六歳になったばっかだ」 「失礼しました。この歳になるとあっという間に月日が流れてしまうもので」 「おまえはじじ臭い台詞が似合いすぎるな」 嬉しそうに駆けてきた娘の体を、片腕で抱きとめる。傘がなけりゃ抱っこしていってやるんだがな、勘弁しろ。 「う…パパぐしょぐしょ」 「おっとスマン。さっきまで濡れながら墓掃除してたもんでな。帰ったら風呂入るか」 「うん、ハルカも一緒に入る!」 「かわいらしいですね」 「そう思うんなら、おまえも結婚して子どもをこさえるんだな」 「それがあいにくと、女性とは縁遠くて」 「言ってろ」 買い物があるというおふくろは、俺にハルカを預けて行ってしまった。雨の中わざわざ迎えに来てくれたと思ったらそういうことか。 「古泉はどうする?なんらウチによってくか」 「よろしいのですか?」 「ああ、久しぶりに会ったんだし、それにこの傘も返さなきゃならん」 借り物の傘を指し示す。後日返却という手もあるが、それだと出不精の俺としては非常に面倒くさい。 それに強くなる一方の雨足だが、しばらく家に居れば止むかもしれない。 「ではお言葉に甘えまして。ハルカちゃん、遊びにいかせてもらうよ」 「カズキおにーちゃんくるの?やったぁ!」 「コイツには『おじちゃん』で十分だぞ」 はしゃぐハルカの手をとって、再び歩き始める。 「…ハルカちゃんは、あのときのことを覚えているのでしょうか」 「ん?…いや、覚えてないだろうな。まだ小さかったし」 ハルヒは、変容する世界をなにごともなかったように留めるため力を使った。 幼いハルカには、自分の母親が神様なんて呼ばれるような人間で、それなのに自分を守るために死んでしまったなんてことはわからないだろう。 「正確には、ハルカちゃんを含む世界を守って、ですが」 古泉や機関の見解はそうらしい。朝比奈さんもそう言っていたし、長門も頷いていた。だからそうなのだろう。 だが見た目にはなにも変わらなかった。それは当然だ。『なにごともない状態』にするために力を使ったんだから。 だから、ハルヒが死なずにすむ選択肢があったのではないかと思わずにいられない。 ハルヒが死ぬ前と後で、何も変わらずに世界が続いているのを見せられると。 「パパ!パーパ!そんなにつよくにぎったらいたいよー!」 「お?ああ、スマン」 頬を膨らませて、長靴で俺のすねにケリをかましてくる娘の声で我に返り、あのときの光景を頭から払う。 「今日は雨で残念だったね、ハルカちゃん」 「うん…パパといっしょのカサで帰れるのはうれしいけど、やっぱりハルカはおひさまが出てるほうがいい」 「雨降りだと大暴れできないからな」 まったく、俺に似ず元気がありあまって困る。まあ、アイツに似たんだろうけどな。 「小さい頃のハルヒさんは、きっとこんな感じだったんでしょうね」 「それについては同感だな。振り回しっぷりもそっくりだぞ?」 「そういえば、ハルカちゃんという名前はあなたが考えたんだとか」 「ん?…ああ、ハルヒのやつが『女親は生んだ瞬間から母親を自覚できるけど、男親は他人事で自覚が足りない。だから名前くらいアンタがつけないさい』ってな」 そのときの得意げな顔をしたハルヒのことが思い出される。 「なるほど…でも良い名前だとおもいますよ」 「母親が春の日なら、娘は春の花……我ながら安直だと思う。名前を似せたついでに、性格まで似やがったしな」 まったく、ハルヒとすごした日々はそう長くないってのに、成長するにつれてあのワガママな性格によく似てきやがる。 「あはは、本当によく似てますよね。本当に…」 どことなく神妙にハルカを見ている古泉。おまえひょっとしてロリコンか?そうでなくてもハルカはやらんぞ。 「ご心配なく。ちょっとハルヒさんのことを思い出していただけです」 「まあ、親子だから似てるのは当然だな。つくづく、あの変な力まで似なくて良かったと思うよ」 ハルカには、この何も変わらぬ日常のまま、幸せに人生を全うして欲しい。この性格に振り回されて辟易することも多いが、それだけは本気で思っている。 「………に、そうでしょうか」 雨音が強い。 つぶやくように言った古泉の言葉は、よく聞き取れなかった。 「イツキおにーちゃんどうしたの?」 ハルカが振り返る。古泉の足は止まっていた。 「どうした古泉?家はまだもう少し先だぞ。雨もますます強くなってるし早いとこ入っちまおう」 「ハルカちゃんは、本当にハルヒさんとよく似ていますよ」 「またその話か?昔から説明のくどいやつだったが、よくまあ一つのネタをひっぱれるな」 軽く笑いながら振り返る。雨足はますます強くなり、古泉の表情はよく見えない。 「僕が力に目覚めたとき、不安だらけでおかしくなりそうでした。でもハルヒさんに引っ張られ、SOS団に入り、そして皆さんと過ごした日々は本当に楽しかったですよ」 「古泉?」 なにを突然。うつむきがちのその顔は、相変わらずよく見えない。 「振り回されはしましたが、僕はそんなハルヒさんが好きでした」 「…おいおい、こんなところで俺の嫁のことについて衝撃の告白されてもなあ」 内に秘めた恋心ってやつか?コイツがそんな風に考えていたなんて、微塵も思えなかったが。 「あなたのことも好きでした。朝比奈さんや、長門さんのことも」 「ねえパパ、イツキおにーちゃんも、早くいこうよー?」 「ん?ああ。古泉、その話なら家に帰ってゆっくり聞くよ。なんなら今日は泊まっていってもいいから、酒でも飲むか?」 苦笑しながら踵を返す。まったく、ハルヒほどじゃないにしろおまえも十分に、突然なに言い出すかわかんないヤツだよ。 「力の予兆が見られました」 「…」 歩き出そうとしたその足が止まる。古泉、なにを言ってるんだ? 「まだ何かがあったというわけではありません。正しくは、そう感じられたというだけです」 振り返ると、古泉は傘を手放していた。 雨にぬれ、その表情はますます見えない。 「だが、感じられたのは僕だけでなく、機関に所属した全員です」 「…ハルヒの?」 「はい」 馬鹿なことを。ハルヒが死んでもう何年経ってると思ってるんだ。 「なぜそれが力の予兆だと分かったのか、それは説明できません。昔、我々が力を与えられたときのように、そう感じたというだけなのですから」 「じゃあ、ハルヒはどこかで生きて…」 「いえ、ハルヒさんは死にました」 ただならぬ様子の俺と古泉の姿を、ハルカは何も言えず見上げている。 「おまえが言いたいのは、つまり」 「ええ、ハルカちゃんです」 やっぱりか。 「遠からず、ハルカちゃんは力に目覚めることでしょう。そのときハルヒさんのように、自覚がないままなのかどうかはわかりませんが」 「でも、俺にはそんなことさっぱりわからなかったぞ?」 「あなたに分かるのですか?」 突き放すような一言。いつも柔和な顔と喋りのこの男が、冷たく喋る。わざとらしいくらいに。 「ハルヒさんだって、見ただけでは普通の女子高生と変わらなかったですからね。本人の自覚がないならなおさらです」 何も言い返せない。 「そう遠くないうちに、ハルカちゃんはその力で閉鎖空間を発生させてしまうでしょう」 もう昔のことになってしまった、あの不愉快な空間のことが思い出される。 「となると、またおまえたちが処理にあたるのか?」 「いえ、ハルカちゃんの作り出す閉鎖空間は、我々が処理できるレベルを一気に超え、世界を変容させるでしょう」 「なっ!?」 そんなバカな。 あの閉鎖空間は自分の思いどおりにならないハルヒのイライラが生み出したもので、その大きさは不機嫌の度合による。 まだ六歳になったばかりのハルカが、いきなり世界を覆うような閉鎖空間を作り出すなんてことがあるんだろうか。 「ストレスにも似た不快な思いが閉鎖空間の程度決める…ならば、ハルカちゃんはこの上なく巨大なものを作り出すだろうことが予測されます」 「こんな幼い子が、なにをそこまで思い込むっていうんだ!?」 「母親がいない、その虚無感ですよ」 古泉の言葉にはっとし、思わずハルカの方を見る。ハルカは、まるで悪さが見つかってしかられるのを恐れるように、おびえた視線を返した。 「いつも、あなたの前では気丈に振舞っていたのでしょうね」 「ハルカ…」 「ですが、やはり母親がいないことは子どもにとって途方も無いストレスです。そのうえ父親は母親の両親に嫌われ、ろくに会えない状態ですし」 そんな…。 「甘えられる人間が極端に少なかったのでしょうね。それでも、あなたは本当に愛情一杯で育てられていると思いますよ?」 いや…。 「でも、それもそろそろ限界ということなのでしょう。すでに臨界点は近づいています」 俺だって、本当は気がついていたはずだ。 「その時がくれば、今の世界は跡形もなくなってしまうはずです」 「…どうすれば、いい?おまえたち機関は、どうすると。また俺にできることが…」 ハルカと繋いでいた手を、より強く握る。今度はハルカも文句を言わない。 「いえ、今度にいたっては、機関も違う対処方法を決定しました」 「違う対処方法?」 古泉の言葉を、バカみたいにオウム返しすることしかできない。 ハルヒの時だって、結局は何もできなかった。そしてハルカについても、俺はなにをすればいいのか分からないのだ。 「ハルヒさんが死んだとき、その死によって世界が消滅することはないという結果がでました」 懐から金属の塊を取り出す古泉。それは引き金を引くだけで人を殺す道具。 本物か?という言葉を吐きそうになったが、こいつが所属していたところがどういうものか考え、その質問は無意味だろうということに気づく。 「僕は、本当にあなたたちが好きでした」 「待て古泉ッ!」 「それだけは………信じてください」 パッ。 TVで聞くような派手な音ではなく、本当にそんな感じで、古泉の持つ銃の先から火花が散った。 そして、俺の胸に赤い花が咲く。 「う…ぁ…ゲホッ!!」 傘はどこかにいってしまった。倒れこんだ俺に雨は強く降り注ぐ。 胸から流れる血は、雨と一緒にどんどん、どんどんと地面を伝っていった。 「機関の決定を聞いたとき、その役に僕は自ら志願しました」 銃口は、恐怖で動けないでいるハルカに向けられた。 「僕が受けなければ、機関は他の誰かをこの役に指名したことでしょう。それは、失敗したときも同じです」 「ま…てっ…ぅあっ…けほっ…こ、いずみ…」 口からも血があふれ出す。 強い雨音の中、力の入らなくなってきた俺は、それでも古泉を制すべく声を出す。 「僕なんかに謝られても腹が立つだけだと思いますが、それでも…申し訳ありません」 視界がゆがむ。それでも見上げた古泉の顔は、泣いているのだろうか。 「これが終われば、僕は自らの手で命を絶ちます。それで罪や罪悪が消えるわけではありませんが。即死ではなく、せいぜい長く苦しんで死ぬつもりです」 「…っバカ、が…なに言ってっか…わかんねえ…よ」 「パパ…」 おびえきったハルカの声。古泉、今ならまだ許してやる。とっととその銃口を下ろすんだ。 「僕は、あの頃が好きでした。皆さんが好きでした。皆さんと会えて良かったです」 いつもの古泉とは違う、笑ってはいるが、いつもの古泉のように笑えてなんていなかった。 「嫌なものですね。ハルヒさんの力のおかげで、僕たちにはこんな結末しかなかった。でもハルヒさんの力がなければ、僕たちは出会うことはなかった…」 古泉の頬には、明らかに雨とは違う水滴が伝っている。バカヤロウ、そんな思いをするくらいなら、なぜ他の方法を取ろうとしなかった。 「たった三人が死に、世界は変わらず日常を続けるでしょう。これが、僕が所属する世界の決定なのです」 引き金にかけた指に、力が込められる。 「…本当に、すいません」 「…や、めろっ…!」 パッ。 冗談かと思うほど軽い音の後、ハルカの体はゆっくりと倒れた。 雨音が強い。ハルカは何か言っているのだろうか。 もう、何も考えられなかった。 意識がもうろうとする。 俺の体は死に向っているんだろう。 ハルカ。 守ってやれなかったな。 ハルヒ。 ごめん。 まぶたは重く、視界はどんどん狭まっていく。 うっすらと見えるのは、倒れているハルカと、銃口を胸に押し当てた姿の古泉。 そして、雨のひとつぶひとつぶが見える。 世界は止まってしまったかのようだ。 「帰りたいですか?」 古泉? 「帰りたいですか?あの頃に」 視界にある古泉は何も喋っていない。口を閉じている。 だがうるさいほどの雨音のなか、古泉の声がはっきりと聞こえる。 …いや、違う。雨音はもう聞こえない。無音だ。 「帰りたいですか?わたしたちが出会った、あの時代に」 朝比奈さん!? 聞こえた…ここにいないはずの朝比奈さんの声が。 「絶望しかない未来をやりなおすために」 今度は長門…どうなってるんだ? 時の止まった世界で、ここにいないはずの皆の声を聞く。 これが死の直前の幻覚ってやつだろうか。 「…とうぜん、だろ…やりなおせるなら…」 ハルヒだって、死なせずにすむかもしれない。 幻覚だろうがなんだろうが、俺はそう答えていた。 自然と、ハルカのほうへ手を伸ばす。幼い、小さな手を握るために。 ほとんど力は入らず、ゆっくりゆっくりと。ああ眠い。眠くて死にそうだ。 「そう願うなら帰れ 「 ますよ、だってあなた 「 は、―――なのだから」 どうだっていいさ、そんなこと。ハルカ、もうすぐ手が届く…。 ああ、眠いな。ちくしょう。もうちょっと、もうちょっとで…。 眠気を振り払い、守りたい、守らなければならないその手を、握った。 「な、なに!?突然なにを…」 「お前を…守るって…」 「え?………えー!?ちょっとキョン!あんたなに言って…」 「ハルカ…」 「いきなりそんな恥ずかしい……え?…誰?」 目が合う。 「………ハルヒ?」 「う、うん」 「…あれ?」 雨がいつのまにかやんでいる。あの薄暗い雨の風景から、一転して明るい。 あたりを見回すと雨はすっかりやんでいた。という以前にここは室内だ。俺がとてもよく知る、ある意味今の俺はこの場所を外して語ることはできないであろう場所。 「部室…」 「あんた…寝ぼけてるの?」 目の前にはハルヒ。高校生の姿をしたハルヒだ。思わず抱きしめそうになったが…いやまて、俺が寝ぼけてるって? 「昨夜どれだけ夜更かししたかはしらないけどね、団長が来てるっていうのにいつまでも寝てるってのはどういう了見よ」 「…そうか、俺ここで寝ちまってたんだ」 思い出した。そういうことだ…と思う。 いや、自信が無いのはその夢の内容が嫌にリアルだったから。夢と現実の時間の進み方は違うなんて話を聞くが、それにしても十数年分の夢をみちまってのはどうよ。それも俺とハルヒが…。 「で、いつまでこのままなのかしら?」 「ん?」 「…とっとと離してって言ってるの」 「………うあっ!?す、スマン」 どうやら寝ぼけてハルヒの手を握ってしまっていたらしい。慌てて手を離す俺に、ハルヒから追い討ちの言葉。 「ふーん…手を握っちゃうくらいの仲なんだ、そのハルカって娘とは」 「いやまて、色々と思いをめぐらしているようだがそれは違うぞハルヒ。そのハルカってのはな…そう、小学生のイトコのことでな、今ちょっとウチに遊びにきてるんだ」 なんで俺がハルヒ相手にこんな言い訳がましいことを言っているのだろう。どうやらまだ夢の影響が抜けきってないらしい。 「へー…じゃあ今日の活動はキョンの家でやりましょうか?そのハルカちゃんも一緒に」 「勘弁してくれ…」 意地の悪いハルヒとのやり取りをしていると、こちらをじっと見ている長門に気が付いた。部室に来ているのは俺とハルヒと長門の三人。まだ朝比奈さんや古泉は来ていない。 いつもなら静かに本を読んでいる長門が、珍しいこともある…なんて思ってふと考えた。ひょっとして…。 よくわからんがへそを曲げたままパソコンをいじり始めたハルヒはとりあえず置いておいて、長門に聞いてみることにする。 「なあ長門、俺さっき変な夢をみたんだが」 「あれは起こりうる未来。完成に近いシュミレーション」 全てを言い終わらないうちに、長門からの答えが返ってくる。 「マジかよ…というかお前も見たのか?」 「断片的に」 「しかし起こりうるって………最悪だぞ?」 少なくとも俺にとっては。今も夢の内容を思い出して、なんだか胸の辺りがムカムカしてくる。 まったく、いったいなんだってあんな夢を。どっかの勢力が俺に嫌がらせで見せたのか? 「あれを見せたのが何者かは不明」 「ってことは敵か味方かもわからんわけか。あんな未来が待ってるなんて思うと、気が滅入るどころの話じゃないぜ」 「あれを見たあなたなら、回避することは可能」 「未来が変えられるってんならまあ、ああならないように努力はするだろうな」 だとしたら、ひょっとしてハルヒが無意識のうちにあれを見せたって可能性も…。 「どう行動するかは、あなた次第」 それだけ言うと長門は、また本に目を落としてしまった。そういえばあの夢には長門も出てたんだっけな。声だけの出演だけど。 さて、それなら俺はどうするかだが…実際どうすりゃいいんだ? 「おや、きょうは朝比奈さんが一番最後ですか。珍しいですね」 部室の扉を開けて古泉のニヤケ面が現れた。顔を見た瞬間あの夢の最悪な出来事が思い出されたが、まああのときのお前の顔と、夢だったってことで許しておいてやる。 「お、遅くなりましたーっ」 続いて慌てて入ってくる朝比奈さん。そんなに急がなくてもかまいませんよ。どうせここに来ても普段だらだらと過ごしているだけですし。 もはや決定事項となってしまった朝比奈さんの衣装替えのため、俺と古泉は部室の外に出た。一緒に待つ間、俺は夢で見た未来のことを考える。さて、俺になにができるのか。 「…なんて漠然と考えたって、なにができるってわけでもないしな」 「どうされました?」 俺の独り言に興味深げに問いかけてくる古泉。お前はお前で自分の将来を心配してろよ。 「ま、今できることってのは限られてるしな」 ハルヒの顔を見たら、開口一番に言うとしようか。 朝比奈さんの着替えが終わったらしく、部室の扉を開ける。 「ハルヒ」 「…ん?どしたの?」 あんな絶望的な未来はゴメンだからな。 「長生きしろよ?」 「なに突然?そんなの当然じゃない。まだあたしは見てないものがたくさんあるのよ?全部見るためには百歳まで生きたって足りるかどうか」 …こんな性格のコイツが、早死になんてするなんて信じられん。 「キョン、あんたもよ?」 「ん?」 「あんたも長生きしなさいよ」 俺と違って、こいつはどういう意味で言ってるんだろうかね。 「これからも不思議探しに付き合ってもらうんだから」 へいへい、そういうことだと思ったよ。 さっきの不機嫌はどこかへいっちまったらしい。やれやれ、なにが楽しくてそんなに笑うんだろうな、コイツは。 これからもずっとコキ使うつもりでいるハルヒに、俺は俺なりに最大限の誠意をもって応えた。 「…努力するよ」 Fin.
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「あっ」 「おっ」 森の中を散策していた彼ら、加藤勝と西丈一郎は思わぬ遭遇に言葉を漏らした。 彼らは死者を呼び寄せる黒球、ガンツに呼ばれた者同士として顔見知りである。 しかし、仲が良いかと問われれば決してありえず、性格も目標も相容れない二人でもあった。 では、そんな彼らが出会えばどうなるか。 立場でいえば互いに協力者であり、実際に敵対したことは一度とてなかった。少々言い争ったことがある程度だ。 仲は良くないが、互いに憎み合うわけでもない。彼らの関係はガンツに呼ばれた一点を除けば希薄だと言っても過言ではないだろう。 つまるところ、彼らが出会ったからといって特筆すべきことはなく、他の参加者の情報交換との違いは、互いの共通事項の確認をする程度だった。 「お前もスーツを没収されたみたいだな」 「さあどうかな。お前らみたいにスーツを忘れるようなヘマはやらかしたことはねえからな。もしかしたらデイバックの中にあるかも」 「誤魔化すな。俺たちの中では誰よりも経験のあるお前がこんな異常事態にスーツを着ない訳がないだろう」 「...チッ」 加藤と西。彼らはガンツの星人討伐任務に挑む際、支給された特殊スーツを常に着用していた。 この特殊スーツは着用者の身体能力を底上げすることができるものであり、これの有無で任務の難易度が大きく変わるほどの代物だ。 しかし、この催しではそれは没収されている。 この時点で、彼らは現在の状況が従来のガンツの任務から外れていることを認識していた。 「それで、お前はどうするんだ」 だから加藤は不安だった。 西丈一郎。彼は、加藤から見て非情且つ異常な面の目立つ少年だった。 デマを流し他者を囮に使う、人の死を語り興奮する。そんな少年が殺し合いに放たれればどうなるか。加藤は想像するだけでも嫌だった。 「んー...それって、殺し合いに乗るかどうかってこと?」 「ああ」 「興味ねーな。俺の邪魔しなけりゃそれでいい」 だから加藤は彼の意外な返答に思わず面喰らってしまった。 てっきり、この機に殺人を愉しむだろうとばかり思っていた。 「意外だな」 「別に今までと変わらねーもん。今回は赤い首輪が『星人』で、殺したら点数の代わりに特典が貰える。それだけだろ」 同時に、最も彼らしいこの言葉に落胆を覚えずにはいられなかった。 (そうだ...こいつはこういう奴だった) 「けど、今回はどんな奴がターゲットか分からないんだぞ」 「今までもそんなのバッカだったろ。ガンツのいい加減な特徴が役に立ったことがあるか?」 「それはそうだけど...」 「それに今回は一匹殺すだけで100点相当の大盤振る舞いときた。尚更狩らずにはいられねえよ」 西の言葉に、加藤は思わず言葉を詰まらせる。 これから先も自分はガンツに呼ばれ続ける。その中には千手観音のような強敵もいるだろう。 その時に充分な装備が無ければ、また全滅寸前にまで追い込まれてしまう可能性は高い。 それに、この場に呼ばれてしまった玄野やガンツに呼び出される度に心配をかけている弟の加藤歩のこともある。 この機に装備を充実させるという西の言葉に間違いはないのだ。 「...けど、赤い首輪の参加者だって」 ガサガサガサ。 加藤の言葉を遮り、何者かが草木をかき分け近づいてくる。 加藤はデイバックからPLUCKと血文字が記された剣を、西は懐から拳銃を取り出し臨戦態勢にはいる。 「使えるのか?」 「どう思う」 「...難しそうだ」 ガンツの任務で支給された銃は、未知の技術によるものか、残弾や反動といった拳銃特有の弱点がなかった。 だが、西が握っているのはなんの変哲もない拳銃。引き金を引けば弾丸が発射され、反動により隙も大きくなる現代の武器だろう。 もしも近づいてくる足音が赤い首輪の参加者、若しくは殺し合いを肯定した者であれば、自分が前に立つしかない。 足音が近づく度に、加藤の鼓動は大きく波打った。 「助けてくれ...赤い首輪の参加者に襲われた...!」 現れたのは、息を切らし、肩の怪我を抑える少年だった。 ☆ 「青い髪の少女に上半身だけの老人?」 「はい。女の方はどこからともなく剣を出してきます...いてて」 少年、相場晄の応急手当を施しつつ、加藤は相場から事情を伺っていた。 「俺と一緒にいた仁美って緑色の髪の子もソイツに殺されました。彼女は俺を庇って...」 相場の声に陰りが生じる。 既に犠牲者が出ているという事実に、加藤は歯噛みするほかなかった。 「だから言ったろ、いつもとなんにも変わらないって」 西はヘラヘラと薄ら笑いを浮かべつつ加藤を挑発するかのように声をかける。 当然ながら、彼が相場の手当を手伝うことはない。 「...そいつらは、あっちの方角にいるのか?」 「...我武者羅に逃げてきたからあまり自信はない」 申し訳なさげに俯く相場だが、加藤はそんな彼に非難の目を向けることなく、相場の走ってきた方角へと顔を向ける。 「おっ?偽善者が珍しく殺る気になったか」 「......」 「それとも、赤首輪の連中にも事情があるとか言っちゃうわけ?」 加藤は答えない。しかし、その姿勢が全てを物語っている。 そんな彼に西は溜め息をつかずにはいられなかった。 「あいつらのところに行くつもりですか?」 心配そうに問いかける相場に顔を向ける加藤の額には緊張による冷や汗と脂汗が滲んでいた。 「...できれば味方は欲しいが、いまは俺しかいないから」 「無茶ですよ。せめてもう少し仲間を増やしてから」 「もう被害者も出ている。一刻も早くそいつらを止めないと」 「でも...」 「別にいいんじゃね。死にたい奴は勝手に死なせとけ」 二人の言い合いを止めたのは、現状をじれったく感じた西。 元々彼は加藤と組むつもりはなかったし、いまの段階で赤首輪の参加者を狙いにいくつもりもなかった。 いざ赤首輪を狩ろうという時に割って入るであろう偽善者を切り離すにはいいタイミングだ。 西にとって、そんな死にたがりを止める理由など一切なかった。 相場は諦めるように加藤から僅かに目を逸らし、やがて視線を再び合わせた。 「...野崎って女の子を見つけたら、俺が探していたことを伝えてください。待ち合わせ場所はD-5でお願いします」 「野崎...春花と祥子って子だな。わかった」 加藤は名簿の『野崎春花』と『野崎祥子』に印をつけ、すぐに踵を返す。 「精々楽に死ねるよう祈っとけよ、偽善者」 激励のつもりは一切無い。 そんな調子で嘲笑う西に、加藤は一度立ち止まり、一度だけ視線を向け言い放った。 「...お前がなんと言おうと俺のやり方を変えるつもりはない」 それだけ告げると、加藤は闇夜へと駆けて行った。 (赤首輪の参加者だって、人間じゃない奴にだって感情はある) 森を駆ける中、加藤は今までの戦いを思い返す。 ネギ星人との戦いは、子供を殺された親の怒りによってヤクザ達は殺された。 田中星人も、肩に乗っていた鳥を西が殺したことにより戦いが始まってしまった。 あの恐ろしい千手観音でさえ、仲間を失ったことを嘆いていた。 (この状況は完全なイレギュラーだ。赤首輪の参加者とだって、戦わなくて済む道もあるかもしれない) 加藤は、星人たちと殺し合うことに常に疑問を抱いていた。 なぜ戦わなければならないのか。誰がこんなことをさせているのか。 星人たちを好き好んで殺したことは一度たりとてありはしなかった。 ガンツの時と同様、理不尽に開催されたこの催しでも同じ。 例え赤い首輪が人外の証だとしても、同じ被害者であれば彼はそれだけで敵視しようとは思えなかった。 (俺は俺のやり方で戦う。―――そして計ちゃん) 玄野計―――この名簿に連ねられた親友を想い馳せる。 彼は酔っ払いを助けようとした加藤に巻き込まれる形でガンツに呼ばれ、幾度か共に戦った。 加藤が先に死んでしまってからも、彼を生き返らせるために奮闘していたという。 そんな彼も、今では加藤を蘇生した後に仲間に見送られ元の生活へと戻った。 そう。ガンツのことなど、一度死んだことなど忘れ去ってしまった平穏な日々へと。 加藤は思った。計ちゃんには頑張ったぶん平和に過ごしてほしいと。 だが、その矢先にこの殺し合いだ。いまの計ちゃんはガンツでの戦いの記憶が無いため振りは免れない。 危機に晒されるほど力を発揮するのが玄野計という男だが、それもどこまで通用するかわからない。 (計ちゃんは俺が守るから、無茶はしないでくれ!) もう彼を傷付けるのは御免だ。こんな理不尽なゲームで誰かが傷つくのは嫌だ。 必ずこの殺し合いを止めてみせる。加藤は拳を握りしめ心中で誓った。 【G-2/一日目/黎明】 【加藤勝@GANTZ】 [状態]:健康 [装備]:ブラフォードの剣@ジョジョの奇妙な冒険 [道具]:不明支給品0~1 [思考・行動] 基本方針:殺し合いを止める。 0:相場の語った赤首輪の参加者に注意。できれば説得して止めたいが... 1:計ちゃんとの合流。 ※参戦時期は鬼星人編終了後。そのため、いまの玄野はガンツの記憶を無くし普通に生活している状態からの参戦だと思っています。 「あんたは行かなくていいのか、仲間なんだろう?」 「冗談。俺に要るのは使えるか使えないか、邪魔になるかならないか、それだけだ」 西は銃を磨き、時には構えて撃つ練習をしつつ相場と言葉を交わす。 「それとあいつよりはお前の方が話が解る。それがあいつを追わなかった理由でもあるな」 「...どういうことだ」 「お前さ、人の死体とか見たことある?」 人の死体。 相場の脳裏によぎるのは先程ボウガンで撃った志筑仁美―――ではなく、火に包まれた春花の父と妹。 「俺はあるぜ。ニュースとか写真なんかじゃない。本物の人間が切り裂かれ、破壊される現場でだ」 炎に包まれる春花の家へ、彼女の家族を救助へ向かった時。 彼は見た。炎に包まれる春花の父と妹の姿を。 「さっきまで生きてた奴らが破壊されて肉塊になるのを見てるとさ、興奮するんだ。テレビなんかじゃ出せない本物の死体がここにあるって」 不謹慎だとは思った。しかし、気が付けば彼らを助けることすら忘れてカメラを手にしていた。 「それでそいつらと俺を見比べて思うんだ。『俺は生きている、こいつらよりも優れている』って」 その時の自分はどうだったか。 この姿はカメラに収めなければならないと無我夢中だった。 身体を張って娘を助けようとした父の勇姿に感動していた。 そんな父親の姿を愛する春花に見せてやりたかった。 彼らが消えたことにより春花にとっての自分の存在は確固たるものとなったと密かに喜んでいた。 「お前はどうだ。もしも死体を見たら、どうなると思う?」 その時の自分は有体にいえば興奮していたのだろう。 「...下らない。俺をお前と一緒にするな」 「どーだかね。...まあいいや。とりあえず、準備ができるまで赤い首輪の参加者の悪評を振り撒くつもりなんだろ?」 「...!」 「偽善者にはわからなくても俺にはわかんだよ。お前が狩られるんじゃなくて狩る側だったことくらいはな」 相場の目が驚愕に見開かれる。 自分の演技は完璧だったはずだ。言葉にも矛盾はなかったはずだ。なのになぜ... 「あの偽善者が手当してた時、お前は頑なにデイバックを奴の視線から外そうとしてたよな。なにか見られたくねーもんでもあるんじゃねえか?例えば、血の付いた凶器とか」 「それは...」 相場は確かに、万が一にも加藤にデイバックを探られないよう無意識的に言葉を交わすことで彼の注意力を散漫させデイバックが視界に入らないよう位置の調整をしていた。 現在の唯一の武器である血濡れの弓が見つかれば化け物たちの悪評を振り撒くどころではなくなるからだ。 「...だとしたらどうするんだ」 しかし、だからといって狼狽えるほどのことでもない。 言葉を交わした範囲で判断する限り、この男は自分と春花の生存においては重要ではない存在だ。 邪魔するなら殺せばいいだけのことにすぎない。 「俺もお前もまだ準備不足ってトコだろ。だから俺の狩りの準備が整うまでは口裏合わせてやるよ」 そんな相場に協力の提案を申しかけたのは西。当然ながら、彼には彼の思惑がある。 前述した通り、いまの西は赤首輪を狙うつもりはなかった。 西の武器は拳銃のみである。当然ながら残弾はあるし、ガンツから支給される銃とは違い、当たったところで確実に仕留められる保証もない。 また、スーツも無いため近接戦闘もたかが知れている。赤首輪はおろか、大人一人にも勝てないだろう。 こんな状態で赤首輪のもとへ出向けば返り討ちにされるのがオチだ。 以前なら己の腕に過信し加藤の後をつけた可能性もなくはないが、田中星人の時に死んだ経験が彼を慎重にさせた。 いまの彼が欲するモノは力と最小限の手ごまである。 力。まず第一に強力な武器だろう。スーツが手に入ればいいが、せめてガンツの任務で使用する銃くらいは欲しいものだ。 手ごま。これは数があればいいというものではない。 数があれば囮として使うにはイイかもしれない。しかし、任務では点数が配分されるのとは違い、今回のゲームでは『赤首輪を殺した者一名』のみが報酬を得るシステムになっている。 前者では多くの数を倒さなければならない代わりに全員が100点を達成できるケースがあったが、今回は泣いても笑っても一人だけだ。 報酬を得るために諍いが起こり足を引っ張る可能性が高くもある。最小限の数で効率的に狩りができるのが一番イイ。 加藤は赤首輪を守るだけでなくそういう輩も分け隔てなく連れてくる可能性が高かった。だから単身赤首輪のもとへ向かわせ死んでくれることを願った。 その点、相場はまだやりやすい。狩るにも躊躇いはなさそうだし加藤よりは合理的に行動ができそうだ。 だから、西は相場への協力を提案したのだ。扱いやすい駒の先駆者としてだ。 「......」 当然、相場も西になにか裏があることは勘付いている。だが、このまま一人で目的を達成できず協力者が必要なのは言うまでもないこと。 断れば容赦なく悪評を振り撒かれるであろうことから、彼は西の提案を飲まざるをえなかった。 「...よろしく頼む」 「交渉成立だ」 握手は決して交わさない。互いに信頼の二文字はありえないのだから。 一人は新たなる力を手に入れるため、一人は愛する者のため。 二人の男子中学生は偽りの契約をここに締結した。 【G-2/一日目/黎明】 【西丈一郎@GANTZ】 [状態]:健康 [装備]:ポンの兄の拳銃@彼岸島 [道具]:不明支給品0~1 [思考・行動] 基本方針:赤首輪の参加者を狙い景品を稼ぐ。装備が充実したら赤首輪の参加者を殺すなり優勝なりして脱出する。 0:邪魔する者には容赦しない。 1:相場は利用できるだけ利用したい。 2:いまは準備を整える。 ※参戦時期は大阪篇終了後。 【相場晄@ミスミソウ】 [状態]:右肩にダメージ [装備]:真宮愛用のボウガン@ミスミソウ ボウガンの矢×1 [道具]:基本支給品一式、不明支給品0~1 [思考・行動] 基本方針: 春花と共に赤い首輪の参加者を殺し生還する。もしも赤い首輪の参加者が全滅すれば共に生還する方法を探し、それでもダメなら春花を優勝させて彼女を救ったのは自分であることを思い出に残させる。 0:春花を守れるのは自分だけであり他にはなにもいらないことを証明する。そのために、祥子を見つけたら春花にバレないように始末しておきたい。 1:赤い首輪の参加者には要警戒且つ殺して春花の居場所を聞き出したい。 2:俺と春花が生き残る上で邪魔な参加者は殺す。 3:青い髪の女(美樹さやか)には要注意。悪評を流して追い詰めることも考える。 4:カメラがあれば欲しい。 ※参戦時期は18話付近です。 時系列順で読む Back 口は災いのもと Next [[]] 投下順で読む Back 神よお導きをNext [[]] GAME START 加藤勝 GAME START 西丈一郎 泥の船 Decretum 相場晄 泥の船